各たより

令和4年度 終業式

 令和4年度の終業式を行いました。

 話の準備としてプロジェクターを設置していたのですが、1年生の2名の男子が教務主任を進んで助け、ステージ上の演台の設置やスクリーンの移動、スピーカーの設置等、率先して手伝ってくれました。困っている人がいたら進んで助ける、素晴らしい姿でした。

 やがて、全校生徒が体育館に集まってきました。はしゃいで飛び回る生徒など一人もなく、生徒たち自ら次第に列を作り並んでいます。誰の指示でもなく、頃合いを見て団長が「基準列!」と号令をかけ、整然とした隊形が整いました。

 なんと、素晴らしい姿だろう…

 と、感心してみていました。その後、3人の学年代表と生徒会代表が一年間を振り返りながら、進級する自分たちに向けての更なる課題を話してくれました。立派な姿でした。

 さて、それに負けずに、私の話ですが、年度の終わりでもあるので「西山の未来と可能性」といった話をしました。

 スクリーンにアメリカ合衆国を映し質問します。「アメリカは日本の何倍の国土か?」「日本がすっぽり入っているが、北海道から沖縄までの距離は?」と。わかっている生徒は少なかったようです。

 「アメリカの経済の中心は?」という質問には「ニューヨーク!」という答え。スクリーンに摩天楼、ウォール街の経済の中心地を映します。アメリカどころか世界の経済の中心ともいえる都市でえす。「さて、東海岸のこの都市。大都会から随分離れたこの都市を知っている人?」という質問に挙手はありませんでした。私は、シアトルを指していたのです。日本の端から端までが約3000km。シアトルとニューヨークの距離は3890km。いかに離れているか。1980年代はインターネットも普及していないので、都会から離れているということは情報もすぐには手に入らない、いわば田舎です。」次に、世界を席巻する巨大企業の本社のロゴを映し出しました。すべて生徒たちがよく知っていて「知っている人?」という問いに大きくうなずいていました。

 「スターバックス、アマゾン、マイクロソフト、コストコ。なぜ、大都会から3890㎞も離れたこんな田舎で世界企業が現れたんだろう?」と、問いかけました。「特に、アマゾンやコストコの特徴は?」と問うと、頷く生徒がいました。

 「これら企業は、アイデアと工夫で、そして田舎だからこその広大な土地を利用し、巨大倉庫を作ることができたし、そこから物流ネットワークを生かして発展した」ことを話しました。スターバックスはコーヒーにイタリアンテイストを生かし、誰もが求める美味しさ、居心地の良い空間を提供し、世界の人に求められていきました。マイクロソフトは、もちろん、新たなアイデアでテクノロジーを駆使し、コンピュータのOS(オペレーションシステム)を構築し、コンピュータというただの箱を命令・指示によって、いろんなことができるようにしました。

 つまり、アイデアが大切で、何にもないといういなかが、発展の土台となったということです。生徒たちに、地図を見せました。「ここに見覚えはあるよね?」と問うと、「西山インターだ」と答えが返ってきました。「西山には、都会のような高層ビルはないかもしれない。でも、何にもないことがチャンスに変わる。人は、インターネットではお腹いっぱいにならない。注文はできても、本物の「モノ」が届かないと、手に取ることも食べることもできない。おいしい米は、都会では作れない。こんなに近くに、日本中の窓口となる高速のインターがあるところはない。みんなのアイデアが、やがてこの西山でチャンスとなるかもしれないね」と、生徒たちに語り掛けました。

 自分の住んでいるところに、郷土に誇りを持ち、自信をもって今後も生活をして欲しい、と願って、そして未来は自分たちの力で変えることができる、という彼らの可能性を信じて、令和4年度の私の仕事を終えました。

 保護者の皆様、地域の皆様、今年一年間の西山中学校への御協力御支援に心より感謝申し上げます。

 本当にありがとうございました。